3Dモデリング基礎

この資料は、Blenderの基本操作からキャラクターモデリング、生成AIの活用、Blender MCPによる部屋づくり、Webでの応用、VRChat用モデルの準備までを学びます。

学習進捗 0/6 完了

事前準備

Blenderの基本操作から最新のAI技術を活用したモデリング、さらに制作した3DモデルをWebやVRChatで活用する方法までを紹介します。 Blender初心者や基本操作を身につけたい方、生成AIやLLMを活用した効率的なモデリング、Web・VRChat向け3Dコンテンツ制作に興味がある方に向けた内容です。

  • 必要なソフトウェア:Blender、Claude Desktop(こちらは任意のMCPの実行環境でも問題ありません)
  • 推奨デバイス:マウスまたはペンタブレット
  • VRChat:こちらも任意で、できる方だけで問題ありません

ソフトウェア

Blender

必須 - メインソフトウェア(推奨:4.4.3以上)

Claude Desktop

MCPの使い方はBlender MCPの章で詳しく解説しています。

ダウンロード

Blender起動確認

Blenderビューポートの例

✅ このような画面が表示されていれば準備完了です

モデリングの基礎

創作活動の基礎となるBlenderの基本操作から、三頭身キャラクターの作成、UV展開、テクスチャ適用、リグの設定まで、一連の制作工程を学びます。

Blenderでよく使うショートカットキー

モデリングを効率的に行うために、基本的なショートカットキーをマスターしましょう。

カテゴリ ショートカット/操作 説明
UIとビュー操作 Tキー ツールシェルフ表示/非表示
Nキー プロパティエディタ表示/非表示
視点回転 マウス中ボタンドラッグ
視点移動 Shift + 中ボタンドラッグ
ズーム マウスホイール
オブジェクト操作 Shift+A オブジェクト追加
Gキー 移動
Rキー 回転
Sキー 拡大縮小
Tabキー モード切替 (オブジェクト/編集)
基本モデリングツール Eキー 押し出し
Ctrl+R ループカット
Iキー 面を差し込む
Ctrl+B ベベル
右クリック コンテキストメニュー (細分化など)
基本モデリング用ショートカットの例

三頭身のキャラクターをモデリングする

キャラクターモデリングの第一歩として、バランスの取れた三頭身(頭一つ分で身体の長さの基準とするプロポーション)の人間モデルを作成する基本的な工程を学びます。左右対称のモデリングに慣れることが大切です。

  1. 基本メッシュの追加と準備:

    Blenderを起動し、デフォルトのキューブを削除します。Shift+A > メッシュ > キューブ を追加します。このキューブを体の中心とします。

    キューブを選択した状態で、tabキーを押して編集モードに切り替え、右クリックして細分化を1回おこないます。面選択モードに切り替え、左半分の面を選択し、面を削除します。

    オブジェクトを選択した状態で、プロパティエディタ(右側のNキーで表示されるサイドバー)のモディファイアープロパティ(レンチアイコン🔧)から「モディファイアーを追加」> 「ジェネレート」>「ミラー」を選択します。これで、片側を編集するだけで左右対称のモデルが作成されます。「クリッピング」にチェックを入れると、中心で頂点が結合されるため、作業がしやすくなります。

    Blenderのミラーモディファイアーの例おおまかな形を作る:

    オブジェクトモードからTabキーで編集モードに切り替えます。最初に体のベースとなるキューブを拡大・縮小(Sキー)して、胴体部分のサイズを決めます。

    体の各部位(頭、胴体、腕、足)を意識しながら、面(Face)を選択し、Eキーで押し出して新たな面を作成します。押し出し後に移動(Gキー)や拡大縮小(Sキー)を繰り返し、徐々に人型に近づけていきます。

    Ctrl+Rでループカットを入れ、頂点や辺を移動・調整することで、関節部分や曲線を作っていきます。例えば、腕の付け根やひざ、ひじのあたりにループカットを追加すると、後からの整形がしやすくなります。

  2. プロポーションの調整:

    視点を頻繁に変えながら、全体のプロポーションが三頭身になるよう調整します。頭の大きさを基準に、胴体が約1つ半、足が約1つ半の長さになるよう心がけましょう。編集モードで頂点(Vertex)を選択し、Gキーで移動させることで、細かく形状を調整できます。

  3. ディテールの追加(オプション):

    必要なら、肩、腰、手、足の指などのディテールを追加します。細分化サーフェスモディファイアー(サブディビジョンサーフェス)を追加すると、モデルを滑らかに表示できます。

    Boxからキャラクターまで

UV展開をする

UV展開とは、3Dモデルの表面を2D平面に「切り開く」作業です。これで、テクスチャ(画像)をモデルに正確に貼り付けられるようになります。服の型紙を作るイメージです。

  1. UV編集ワークスペースへの切り替え:

    Blenderの上部にあるワークスペースのタブから「UV Editing」を選択します。画面が2つに分割され、左側にUVエディタ、右側に3Dビューポートが表示されます。

    UV編集画面
  2. シーム(縫い目)のマーク:

    3DビューポートでオブジェクトをTabキーで編集モードにします。辺(Edge)を選択モードに切り替え、UV展開したい部分の「切り開く」辺を選択します。

    選択した辺の上で右クリックし、「シームをマーク」を選択します。これにより、その辺が赤く表示され、UV展開時の「切り目」となります。衣服の縫い目を想像すると分かりやすいでしょう。

    全身のモデルの場合、腕や脚の内側、背中の中央、首の付け根などにシームを入れるのが一般的です。

    シームをマークする
  3. UV展開の実行:

    全ての面を選択(Aキー)した状態で、3Dビューポートのメニューから「UV」>「**展開**」を選択します。または、Uキーを押して「展開」を選択します。

    これで、UVエディタ(左側の画面)に、切り開かれたモデルの2D形状が表示されます。

    UV展開結果
  4. UVアイランドの整理:

    UVエディタ上で、展開されたUVアイランド(切り開かれた各パーツ)を移動(Gキー)、回転(Rキー)、拡大縮小(Sキー)して、テクスチャスペースに効率よく配置します。

    UVエディタのメニュー「UV」>「UVをパック」を使用すると、自動的にUVアイランドをスペース内に配置してくれます。

テクスチャの作成と適用

テクスチャは、モデルの表面に色や質感を加えるための画像データです。UV展開したモデルにテクスチャを貼り付け、よりリアルな表現を目指します。

  1. テクスチャ画像の準備:

    画像編集ソフトウェア(Photoshop, GIMPなど)や、テクスチャペイント機能(Blender内蔵)を使用して、モデルに貼り付けるための画像ファイル(PNG, JPGなど)を作成します。

    UVエディタからUVレイアウトを画像としてエクスポートし、それをガイドにテクスチャを描き込むのが一般的です。

  2. マテリアルの作成とノードの設定:

    Blenderの上部にあるワークスペースのタブから「Shading」を選択します。

    モデルを選択し、マテリアルプロパティ(球体アイコン⚪)から新しいマテリアルを追加します。ノードエディタ(Shadingワークスペースの下部)で、デフォルトで作成されている「プリンシプルBSDF」ノードに「画像テクスチャ」ノードを追加し、その「カラー」出力を「プリンシプルBSDF」の「ベースカラー」入力に接続します。

  3. テクスチャの読み込みと適用:

    「画像テクスチャ」ノードの「開く」ボタンをクリックし、準備したテクスチャ画像ファイルを読み込みます。

    これで、UV展開されたモデルにテクスチャが適用され、ビューポート上で確認できます。必要に応じて、ノーマルマップやラフネスマップなどの他のテクスチャも同様に設定すれば、より複雑な質感を表現できます。

    テクスチャーの作成

リグ(Armature)の設定

リグ(Armature/骨格)は、作成したモデルをアニメーションさせるための「骨」です。これで、キャラクターを柔軟に動かせるようになります。

  1. アーマチュアの追加:

    オブジェクトモードで、Shift+A > アーマチュア > シングルボーン を選択し、ボーンを追加します。

    追加したボーンを選択し、プロパティエディタ(右側の緑の人型アイコン👤)の「ビューポート表示」セクションで「最前面」にチェックを入れると、モデルの中に埋もれずにボーンが見えるようになります。

  2. ボーンの配置:

    アーマチュアをTabキーで編集モードに切り替え、ボーンの端点を選択して移動(Gキー)、回転(Rキー)、拡大縮小(Sキー)を行い、人体の骨格に沿って配置していきます。

    ボーンの端点からEキーで押し出すと、新しいボーンを作成できます。首、背骨、腕、脚、指など、必要なボーンを階層構造(親子関係)で作成していきます。

    ミラーモディファイアーと同様に、アーマチュアのプロパティ(緑の人型アイコン👤)の「X軸ミラー」にチェックを入れると、左右対称でボーンを配置できます。

    ボーンの配置
  3. ペアレントとウェイトペイント:

    まずオブジェクトモードに戻ります(Tabキー)。

    最初にモデル(メッシュ)を選択し、次にShiftキーを押しながら作成したアーマチュアを選択します。

    Ctrl+Pキーを押し、メニューから「自動ウェイトで」を選択します。これで、モデルの頂点が最も近いボーンに自動的に追従するよう設定されます。

    必要に応じて、「ウェイトペイントモード」に切り替えて、各ボーンがモデルのどの部分に影響を与えるかを細かく調整できます。赤(強い影響)から青(影響なし)のグラデーションで表示されます。

    ボーンのウェイトペイント
  4. ポーズモードでの確認:

    アーマチュアを選択した状態で、オブジェクトモードから「ポーズモード」に切り替えます。

    各ボーンを選択して回転(Rキー)させてみて、モデルが意図通りに変形するか確認します。不自然な変形があれば、ウェイトペイントモードで調整します。

    ポーズモードでの確認

応用技術

Blenderでの表現力をさらに高めるため、より進んだモデリング技術を学びます。スカルプティングによる有機的な形状作成から、リトポロジーによるメッシュの最適化、そしてテクスチャベイクによる効率的な見た目の表現まで解説します。

スカルプティング

スカルプティングは、まるで粘土をこねるように、ブラシツールを使って3Dモデルの形状を直感的に彫刻していくモデリング手法です。有機的なキャラクターや複雑な地形の作成に非常に有効です。

  1. スカルプトモードへの切り替え:

    Blenderの上部にあるワークスペースのタブから「Sculpting」を選択します。または、3Dビューポートの左上にあるモード選択ドロップダウンから「スカルプトモード」に切り替えます。

    通常、スカルプティングを行うモデルはポリゴン数が多いため、事前に細分化サーフェスモディファイアーを適用するか、Dyntopo(ダイナミックトポロジー)を有効にしておくことを推奨します。

  2. 主なブラシと設定:

    左側のツールバーには様々なスカルプトブラシがあります。代表的なブラシは以下の通りです。

    • Draw (描画): 基本的な盛り上げや窪みを作るブラシ。
    • Smooth (スムーズ): 表面を滑らかにするブラシ(Shiftキーを押しながら他のブラシを使用するとスムーズブラシになります)。
    • Grab (グラブ): 表面を大きく掴んで移動させるブラシ。大まかな形状調整に。
    • Crease (クリース): シャープな溝や隆起を作るブラシ。
    • Inflate (膨張): 選択範囲を膨らませるブラシ。

    ブラシの半径 (Radius)強さ (Strength) は、3Dビューポート上部の設定、またはFキー(半径)、Shift+Fキー(強さ)で調整できます。

  3. 対称機能の活用:

    人間や動物など左右対称のモデルをスカルプティングする場合、3Dビューポートの右側にあるツールタブ(`N`キー)の「ツール」>「オプション」>「ミラー」セクションで、X軸(またはY, Z軸)にチェックを入れると、片側を編集するだけで反対側も同時に編集されます。

  4. スカルプティングの進め方:

    まず大きなブラシで大まかな形状を作り、徐々にブラシサイズを小さくして細部を彫刻していきます。必要に応じてポリゴン数を増やしたり(DyntopoやMultiresolutionモディファイアー)、減らしたり(Simplifyブラシ)しながら作業を進めます。

リトポロジー

スカルプティングで作成したモデルは、非常に多くのポリゴンを持ち、トポロジー(メッシュの流れ)が複雑で乱れていることが多いです。リトポロジーは、この高ポリゴンモデル(ハイポリモデル)を基に、より最適化された低ポリゴンモデル(ローポリモデル)を再構築する作業です。ゲームやアニメーションでの利用には不可欠な工程です。

  1. ハイポリモデルの準備:

    スカルプティングが完了したハイポリゴンモデルをシーンに用意します。

  2. 参照用としての設定:

    ハイポリモデルを選択し、オブジェクトプロパティ(オレンジ色の四角アイコン🟨)の「ビューポート表示」>「表示方法」を「境界」または「ワイヤーフレーム」に設定し、透明度を調整すると、新しいメッシュを作成しやすくなります。

  3. 新しいメッシュの追加とモディファイア設定:

    シーンに新しい平面(Plane)を追加し、編集モードで全ての頂点を削除します。

    この新しい平面オブジェクトに、モディファイアープロパティ(レンチアイコン🔧)から「モディファイアーを追加」>「ジェネレート」>「ミラー」と「デフォーム」>「シュリンクラップ」を追加します。

    シュリンクラップモディファイアのターゲットには、先ほど用意したハイポリモデルを設定します。「スナップモード」を「サーフェス」にし、「オフセット」でわずかにモデルから離す調整をすると良いでしょう。

    ミラーモディファイアとシュリンクラップモディファイアの順番が重要です。通常は「ミラー」→「シュリンクラップ」の順にします。

  4. 頂点スナップとメッシュの作成:

    3Dビューポート上部の「スナップ」オプション(磁石アイコン🧲)を有効にし、「スナップ対象」を「」に、「対象」を「アクティブな要素」または「一番近い」に設定します。

    編集モードで、頂点を作成・押し出し・結合することで、ハイポリモデルの表面に沿った新しいローポリゴンメッシュを構築していきます。スナップ機能により、作成する頂点がハイポリモデルの表面に吸着されます。

    特に、関節部分や顔の表情に関わる部分(目の周り、口の周り)には、ポリゴンがループ状に流れるように意識してメッシュを作成します。これが「エッジループ」と呼ばれる重要な概念です。

モディファイア: シュリンクラップ

シュリンクラップモディファイアは、オブジェクトを別のオブジェクトの表面に「吸着」させる強力なツールです。リトポロジーにおいて、新しく作成するローポリゴンメッシュをハイポリゴンメッシュの形状に沿わせるため不可欠な役割を果たします。

  1. モディファイアの追加:

    吸着させたいオブジェクト(通常は新しく作成したローポリメッシュ)を選択し、プロパティエディタ(レンチアイコン🔧)から「モディファイアーを追加」>「デフォーム」>「シュリンクラップ」を選択します。

  2. ターゲットの設定:

    シュリンクラップモディファイアのパネル内にある「ターゲット」オプションで、スポイトツール(またはドロップダウン)を使って、吸着させたい表面を持つオブジェクト(通常はハイポリモデル)を選択します。

  3. スナップモードとオフセット:

    スナップモード (Wrap Method):

    • Nearest Surface Point (最も近いサーフェス点): 各頂点がターゲットメッシュの最も近い点に吸着します。
    • Project (投影): 指定された軸に沿ってターゲットメッシュに投影します。
    • Nearest Vertex (最も近い頂点): 各頂点がターゲットメッシュの最も近い頂点に吸着します。
    • リトポロジーでは「Nearest Surface Point」または「Project」がよく使われます。

    オフセット (Offset): 吸着する際に、ターゲットメッシュからどのくらい離すかを設定します。通常、ゼロに近いわずかな値を設定して、両方のメッシュが完全に重なるのを防ぎます。

  4. モディファイアの適用順序:

    シュリンクラップモディファイアは、他のモディファイア(特にミラーモディファイア)と組み合わせて使用する場合、適用順序が非常に重要です。リトポロジーのワークフローでは、通常「ミラー」モディファイアの後に「シュリンクラップ」モディファイアを配置します。

ノーマルマップのベイク

ノーマルマップのベイクとは、ハイポリゴンモデルの持つ詳細な表面の凹凸情報を、画像データ(ノーマルマップ)として抽出し、それをローポリゴンモデルに適用する技術です。これで、ローポリゴンモデルがまるでハイポリゴンモデルのように、リアルな陰影やディテールを持てるようになります。ゲームやリアルタイムレンダリングで非常に重要な最適化手法です。

  1. モデルとマテリアルの準備:

    ハイポリゴンモデルと、リトポロジーによって作成したローポリゴンモデルを同じ位置に配置します。ローポリゴンモデルは、ハイポリゴンモデルの形状を内包するように少しだけ大きくしておくと、ベイク時のエラーが少なくなります。

    ローポリゴンモデルには、ノーマルマップを適用するための新しいマテリアルを設定し、ノードエディタで「画像テクスチャ」ノードを追加し、新規画像を作成します(この画像がベイク後のノーマルマップになります)。この画像ノードは、どの入力にも接続せず、アクティブな状態にしておきます。

  2. ベイク設定:

    レンダープロパティ(カメラのアイコン📷)の「ベイク」セクションを展開します。

    ベイクタイプ (Bake Type) を「ノーマル」に設定します。

    選択→アクティブ (Selected to Active)」にチェックを入れます。これは、選択している複数のオブジェクトからアクティブなオブジェクトへベイクするという意味です。

    エクストルージョン (Extrusion)」や「マックスレイディスタンス (Max Ray Distance)」の値を調整します。これにより、ハイポリモデルからローポリモデルへ情報を投影する距離を設定します。モデルの形状に合わせて適切な値を設定しないと、ベイクエラー(黒い部分や歪み)が発生します。

  3. ベイクの実行:

    まずハイポリゴンモデルをShiftキーを押しながら選択し、次にローポリゴンモデルを選択します(ローポリモデルがアクティブな状態になります)。

    ベイクパネル下部の「ベイク (Bake)」ボタンをクリックします。

    ベイクが完了すると、ローポリゴンモデルのマテリアルに設定した「画像テクスチャ」ノードに、ノーマルマップが焼き付けられます。

  4. ノーマルマップの適用:

    ノードエディタに戻り、ノーマルマップを読み込んだ「画像テクスチャ」ノードと「プリンシプルBSDF」ノードの間に「ノーマルマップ」ノードを追加します。

    「画像テクスチャ」ノードの「カラー」出力を「ノーマルマップ」ノードの「カラー」入力に接続し、「ノーマルマップ」ノードの「ノーマル」出力を「プリンシプルBSDF」ノードの「ノーマル」入力に接続します。

    これで、ローポリゴンモデルにハイポリゴンモデルのディテールが再現されます。

Blender MCP

Blender MCPは、Model Context Protocolを通じてClaude AIとBlenderを直接接続するアドオンです。自然言語でBlenderを操作でき、オブジェクトの作成・変更、マテリアルの適用、シーンの情報取得などが可能になります。

🔗 Blender MCPについて

Blender MCPは、Blender内にソケットサーバーを作成し、Claude AIと双方向通信を行います。これにより、プロンプトベースの3Dモデリングが可能になります。

主な機能: オブジェクト操作、マテリアル制御、シーン情報取得、Pythonコード実行、Poly HavenアセットやHyper3D連携

GitHub リポジトリ

セットアップ手順

Blender MCPを使用するには、Blenderアドオンの設定とClaude Desktopの設定が必要です。以下の手順で進めてください。

📝 事前準備

  • • Blender 3.0以上
  • • Python 3.10以上
  • • uvパッケージマネージャー(Mac: brew install uv
  1. Blenderアドオンのインストール:

    GitHubリポジトリからaddon.pyをダウンロード

    • Blender > 編集 > プリファレンス > アドオン > インストールでファイルを選択

    • 「Interface: Blender MCP」にチェックで有効化

  2. Claude Desktopの設定:

    Claude Desktopの設定ファイルを編集します:

    Claude > Settings > Developer > Edit Config
    {
      "mcpServers": {
        "blender": {
          "command": "uvx",
          "args": ["blender-mcp"]
        }
      }
    }
  3. 接続開始:

    • Blenderの3DビューでNキーを押してサイドバーを表示

    • 「BlenderMCP」タブで「Connect to Claude」ボタンをクリック

    • Claude Desktopでハンマーアイコンが表示されたら準備完了

MCPを利用したシンプルなシーン作成

接続が完了したら、Claudeに自然言語で指示を出してBlenderを操作できます。以下の例で基本的な部屋シーンを作成してみましょう。

MCPインターフェース
1

シンプルな立方体の追加

Blender MCPのパネルに以下のプロンプトを入力して実行します。

プロンプト例:
"Add a cube." (立方体を追加して)
2

面の削除

次に、壁と床になる平面だけを残して他の面を削除します。

プロンプト例:
"Delete the top, left, and right faces of the cube." (キューブの上面、左面、右面を削除して)
3

床のテクスチャー作成

PolyHevenからアンティークなイメージのフローリング用テクスチャーを検索し、適用します。

プロンプト例 1:
"Search for and apply the old flooring texture from Polyheven to the face only." (z面にのみ、polyhevenから、床用の古びたフローリングのテクスチャーを検索し適用して)
4

壁のテクスチャー作成

PolyHevenからレンガの壁用テクスチャーを検索し、適用します。

プロンプト例 1:
"Search and apply the old brick texture from polyheven to the mesh in x,y only." (x、yのメッシュにのみ、polyhevenから古びたレンガのテクスチャを検索し適用して)
5

家具の作成

PolyHevenから家具のモデル(ベッド/棚/椅子/照明など)を検索し、適用します。

プロンプト例 1:
"Search and place retro beds, desks, chairs, sofas, and wall lights from polyheven." (polyhevenからレトロなベッド、机、椅子、ソファー、壁掛けの照明を検索し配置して)

注意: スケールと位置の調整は手動で行います。

6

照明の作成

部屋を照らす照明を作成します。

プロンプト例 1:
"Create lighting to illuminate the room." (部屋を照らす照明を作成して)

注意: 照明の設定は上手くいかない場合が多いので、壁掛け照明の電球部分のメッシュを選択し、新規マテリアルで放射を200に設定し適用。

7

最終確認と調整

作成されたシーンを確認し、必要に応じてBlenderの通常の機能で微調整を行います。

完了! これでBlender MCPを使った基本的な部屋のモデリングが完成しました。

完成画像

Robin3Dによるイメージからの生成

2D画像を添付し、Robin3Dを使用して3Dモデルを生成することも可能です。

完了! 部屋の画像1枚からではまだまだ情報が不足していますが、基本的な形状は生成されました。

完成画像

3Dモデルのエクスポート

Blenderで作成した3Dモデルを他のプラットフォームで活用するために、適切なファイル形式でエクスポートする方法を学びます。Web、VRChat、3Dプリントなど、用途に応じた最適なフォーマットの選択から具体的な設定まで解説します。

ファイル形式の比較

用途に応じて最適なファイル形式を選択しましょう。

形式 主な用途 アニメーション 特徴
FBX (.fbx) Unity、VRChat、ゲームエンジン ✔ 対応 リグ、マテリアル保持
GLB/glTF (.glb) Web、AR/VR、three.js ✔ 対応 軽量、Web最適化
OBJ (.obj) 3Dプリント、静的表示 ✖ 非対応 シンプル、互換性高
STL (.stl) 3Dプリント ✖ 非対応 メッシュ情報のみ

Webでの利用方法

Sketchfab

オンラインの3Dモデル共有プラットフォーム。Blenderから直接エクスポートしたモデルをアップロードするだけで、Web上で公開・共有できます。

PlayCanvas

Webブラウザ上で動作する強力な3Dゲームエンジン。リアルタイムコラボレーション機能も魅力です。

主な手順:
  • BlenderからGLB/FBX形式でエクスポートします。
  • PlayCanvasエディタにモデルをインポートし、シーンに配置します。
  • マテリアルやライト、JavaScriptスクリプトでインタラクティブな要素を追加できます。
  • ワンクリックでWebサイトとして公開が可能です。

Three.js / Babylon.js

JavaScriptライブラリを使い、インタラクティブな3D体験をWebサイトに直接実装します。GLB形式が特に推奨されます。

VRChat向けアバター出力

ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」でアバターとして使用するためのFBXエクスポート設定を詳しく解説します。UnityのVRChat SDKを通じてアップロードするための最適化されたワークフローを学びます。

詳細なFBXエクスポート手順

Blenderで作成したモデルをUnityで読み込むために、互換性の高いFBX形式でエクスポートします。

エクスポート手順:

ファイル > エクスポート > FBX (.fbx) を選択

Transform (トランスフォーム):
  • Scale: 通常0.01(UnityとBlenderのスケール差を調整)
  • Apply Transform: チェック推奨(予期せぬ問題を防ぐ)
Objects (オブジェクト):
  • Selected Objects: 必要な要素のみ選択してエクスポート
  • Object Types: Mesh + Armature を含める
Armature (アーマチュア):
  • Add Leaf Bones: チェックを外す(不要なボーンを防ぐ)
  • Apply Modifiers: Subdivision Surfaceを使用時は検討
Animation (アニメーション):
  • 表情アニメーションや歩行アニメーションがある場合はチェック
  • All Actions: 複数アニメーションを全て含める場合

参考情報・AI活用

さらに知識を深めていくためのリソースと、生成AIを活用した3Dモデル作成について紹介します。

生成AI活用

テキストや画像から3Dモデルを生成するAIツールが進化しています。アイデアを形にしたり、ベースとなるモデルを作る作業がぐっと楽になります。

hyper3d.ai

テキストプロンプトや画像を入力することで、高品質な3Dモデルを生成するツールです。特に写実的なモデルの生成に強みを持ちます。

studio.tripo3d.ai

高速かつ高品質な3Dモデル生成に注力しているAIツールです。シンプルなインターフェースで直感的に利用できます。

meshy.ai

テキストから3D、画像から3D、さらにはテキストからテクスチャを生成する機能など、多様な生成オプションを持つAIプラットフォームです。

重要なポイント: これらの生成AIツールは、完璧なモデルを一発で生成するものではなく、Blenderでの後処理(クリーニング、最適化、UV展開、リギングなど)と組み合わせることで、その真価を発揮します。

学習リソース

公式マニュアル

最も正確で網羅的な情報源です。機能の詳細な説明から実践的なテクニックまで、Blenderの全てがここにあります。日本語版も充実しており、初心者から上級者まで必携のリソースです。

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